離れて暮らす老親の生活支援と介護

親との信頼関係崩壊!?知らなきゃ後悔する関係を維持する5つの方法

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親御さんの心身状態や認知症の悪化とともに、人間関係の悩みが増加してきていませんか。そんな悩みが徐々に解決して行く方法があります。今回は信頼関係の構築・維持する方法についてご紹介します。

親の気持ちに共感しづらくなったことを理解する

親御さんがまだ元気だった頃は、心身状態に大きな差がなかったため、それなりに共感しやすい状況にあったかと思います。しかし、親御さんの心身状態の悪化とともに、だんだんと共感ができなくなっていきます。

共感できない

自分自身、心身状態が不自由になった経験がないからです。親御さんと同じ世代の高齢者が、同じような境遇にあるにもかかわらず、大げさな反応だと感じるかもしれません。そこまで意欲を失うものなのかと思うかもしれません。元気をなくすことを理解できないかもしれません。

「大変なんだろうな。」その程度にしかわかってあげることができないのです。戦時中、戦後と、映画を観てもあまり共感できないのと同じです。大地震を直接味わった、その地域の方々の本当の気持ち、心の傷を理解できないのと同様。かけ離れすぎた環境と状況が、共感を阻害するのです。

しかし、共感しにくい状態になったから仕方がないとそのままにしていては、親子の信頼関係はもろく崩れ去ってしまいかねません。親御さんの心理状態は、余裕がない状態。子であるからこそ、理解されないと孤独を感じ、生きる意味を見失います。そうならないためにも、子である私たちの方から親御さんに歩み寄らなければなりません。

親の言葉・感情を受容する

受容

受容とは、相手の言葉や感情などを自分の価値観、経験などで判断、評価、否定も肯定もせずに、ただただそのまま、ありのままに受け入れることをいいます。

人は受容されると心をひらいて、さまざまな気持ちや考えを言葉にしてくれるようになります。「やっぱり自分の子。安心できるし、信頼できる。頼るならやっぱり自分の子。」と安らぎを感じ、より信頼関係が強化されていきます。

逆に、自分の価値観や経験で批判や否定をすると、「自分の子ですら自分の気持ちを理解してくれない。」と思い込み、まるで世界に一人取り残されてしまったかのように孤独を感じ、心を閉ざしてしまいます。

受容の姿勢を親御さんに示すためには、親御さんを安心させること。気持ちよく話してもらうことを目的に、聴く態勢を整えます。親御さんが話をやめるまで、途中なんの口を挟むことなく、前のめりにただただ聴いてあげます。難しいアドバイスや意見、評価など、望まれない限りは一切発言を控えます。声に出すのは、話を促すための相槌だけです。

親の言葉・感情に共感する

心

共感とは、相手の心、考え、意見、感情などに対し、ともに感じることをいいます。共感は、感情を共有することになるので、喜びはより嬉しく、悲しみは軽減されます。楽しみはより楽しくなりますし、怒りはだんだんおさまっていきます。

ともに感じるためにはまず、「受容」が必要です。相手の言葉や感情など、途中で邪魔する事なく、最後まで聴いていなければ共感することはできません。

話している途中でアドバイスや意見、評価することは、映画を観ている途中で評価しているのと同じことです。そもそも、話の途中で結論を出している時点で、「ともに(一緒)」に反します。途中で離脱しているからです。最後まで一緒に寄り添って感じることが必要です。

共感するためには、相手の心、考え、意見、感情などを、できる限り理解しようとすることが重要です。そのため、同じ体験をしている方が一番共感できます。「自分も同じような体験をしたことがあるから、気持ちわかるよ。」という言葉にも、説得力があります。

同じ体験をしたことない方にとって、完全に理解してあげることはできません。この場合、安易に「気持ちはわかる。」とは言えません。しかし、相手の感情に寄り添い、理解しようと努力することはできます。自分の身に置き換えて、そう考えてしまっても仕方がないと、自分も同じようにしてしまうなど、寄り添う姿勢を示すのです。

共感するということは、相手を尊重することにもなります。形だけの共感ではなく、本当に理解してくれていると親御さんが感じてくれれば、より信頼関係が強くなります。理解できないといった態度は、信頼関係を崩していくだけです。

自分の態度をあらためて見つめ直す

下記の表は、アメリカの心理学者 E.H.ポーターによる「話を聴く5つの態度」をまとめたものです。自分の価値観や先入観で、相手の言葉や感情を判断し評価を下すような態度では、信頼して話を持ちかけているのに、理解してくれない、話を聴いてくれないと心を閉ざしてしまいます。

相手の話を聴くためには、まず自分の態度を改めなければなりません。あなたの態度によって、親御さんの気持ちや言葉、心があなたに伝えられ、信頼関係がより強化されていきます。心を閉ざし、信頼関係を壊すような話を聴く態度にならないよう、気をつけましょう。

親御さんとの信頼関係を強くするに、一番理想的な態度は、下記の表でいう「理解的態度」です。「理解的態度」は、上で紹介した「受容」と「共感」する態度で話を聴く方法です。親御さんや高齢者にかかわらず、人との信頼関係構築に適した態度が「理解的態度」になります。

自分の話を聴く態度を改めて見つめ直し、どれに当てはまるか自分を理解しましょう。もし「理解的態度」にて応対していないようでしたら、信頼関係構築には不向きです。信頼関係を築きたい場合は、「理解的態度」で接するよう心がけてみてください。

E.H.ポーター「話を聴く5つの態度」
態度類型 内容
評価的態度 相手の発言に対して、善と悪、正しいか正しくないか、適切か不適切か、有効か無効かなどの判断を示す態度。
解釈的態度 相手の発言に対して、教えたり知らせたりする態度。
調査的態度 相手の人についてもっと知識や情報を知りたいといった態度。
支持的態度 相手に「大丈夫ですよ。」と保証したり、「あなただけではない。」と慰めたりして、相手の不安を和らげて落ち着かせてあげようとする態度。
理解的態度 相手の言葉や感情をありのままに受け取り、正しく理解しようと、相手に寄り添う相手に寄り添おうと「受容」と「共感」をしようとする態度。

出典:「5つの態度」E.H.ポーター

自尊心を傷つけないようにする

自尊心とは、自分を大切にする気持ち。自分を信じる気持ちをいいます。他人と比較して自分のが優位だと感じるプライドとは異なります。

自尊心が傷つくと、自分は誰にも必要とされていない、邪魔な人間、なんの価値もない、無能な人間、生きていると迷惑をかけるだけ、死んだ方がマシなどと思い込んでしまっている状態になります。

心身状態が悪化しつつある高齢者は、心は非常に脆い状態です。できることが減っていき、トイレに間に合わず漏らしてしまったり、いろいろなことをすぐに忘れるようになったりなど、失敗することが増加しています。自分の心身状態の変化に、心が追いつきません。

「こんなはずじゃない。」と、現状の自分と今までの自分との大きな差に、折り合いがつけられていないかもしれません。そのような心理状態にあるにもかかわらず、軽い気持ちで冗談を言ったり、いつものようにきつく当たっては、自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。信頼関係はボロボロ。

自尊心を傷つけないようにする方法は、アメリカのケースワーカーで社会福祉学者であるフェリックス・P. バイステックが記した「バイステックの七つの原則」を利用します。高齢者にかかわらず、信頼関係を構築するための原則です。「バイステックの七つの原則」を理解し、そのような接し方をすることで、徐々に信頼関係が作られていきます。

フェリックス・P・バイステック「バイステックの7原則」

オンリーワンと考えてほしい原則
1人の個人として対応してもらいたいというニーズ。人の抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり「同じ問題は存在しない」として感じてもらいたい気持ちがあります。
自由な感情表現を認めてほしい原則
否定的な感情と肯定的な感情の両方を表現したいといったように、感情表現の自由を認めてほしいというニーズ。否定的な感情や独りよがりな感情は口に出しづらく、理解されにくいもの。それに反して、そういった負の感情をも口に出し、理解されたいと思っています。
親身になって関わってほしい原則
暴食、色欲、強欲、憂鬱、憤怒、怠惰、虚飾、傲慢など、一般的には否定的な態度を取られがちな感情や弱さ、罪があったとしても、価値ある人間として接してもらいたいと思っています。
受容してほしい原則
言葉、感情、考え方、態度、行動など、評価、否定も肯定もせずに、ただただそのまま、ありのままに受け入れてほしいと思っています。
審判(ジャッジ)されたくない原則
良いか悪いか、善か悪か、正しいか正しくないか、審判(ジャッジ)されたくないといったニーズがあります。
自分のことは自分で決めたい原則
自分のことは自分自身で選択・決定したいというニーズ。押し付け、管理、命令は望んでおらず、尊重してほしいと思っています。
秘密は守ってほしい原則
秘密や自分の情報は守ってほしいというニーズ。秘密を守ってほしいだけでなく、自分に黙って情報を引き出すこともされたくないと思っています。

出典:「ケースワークの原則―援助関係を形成する技法」フェリックス・P. バイステック

いかがでしたか。今回は信頼関係の構築・維持する方法についてご紹介しました。簡単ではありませんが、意識して接することで徐々に関係が良好になって行くことと思います。完全に崩壊してしまう前に、ぜひ参考にしてみてくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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