30分の生活圏で5のサービスを一体的に提供『地域包括ケアシステム』

 知っているようで知らない、『地域包括ケアシステム』について説明します。専門用語の解説と具体的な数値、厚生労働省や内閣府の調査結果とともに、介護の現場と政策などについても触れています。

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2025年75歳以上の高齢者人口が2,179万人、全人口割合が18.1%になる見込み

「団塊の世代」約806万人が2025年に75歳以上になる

「統計トピックス No.72 統計からみた我が国の高齢者(65 歳以上) 」総務省統計局

 「団塊の世代(だんかいのせだい)」とは、日本の「第一次ベビーブーム」が起きた時期に生まれた世代をいいます。「第一次ベビーブーム」は、第二次世界大戦直後の1947年〜1949年に起こった人口急増現象です。

厚生労働省によると、この3年間に生まれた子供の数は約806万人にのぼるとのことです。1949年に生まれた方が75歳になる年、それが2025年です。

2015年の75歳以上の高齢者人口は1,646万人で、全人口に対する割合は13.0%です。2020年の75歳以上の高齢者人口は1,879万人を予想。全人口割合は15.1%。5年間で233万人の増加、2.1%の増加になります。

2025年の75歳以上の高齢者人口が2,179万人。全人口割合が18.1%になる見込み。5年間で300万人の増加、3%の増加になります。2030年の75歳以上の高齢者人口が2,278万人。全人口割合が19.5%の予想。5年間で99万人の増加、1.4%の増加になります。

2025年だけ、高齢者人口と高齢者割合が急激に増加していることがわかります。

出典:「統計トピックス No.72 統計からみた我が国の高齢者(65 歳以上) 」総務省統計局

65歳以上の高齢者数は、2042年のピーク(3,935万人)を目処に減少

 子供がたくさん生まれた時期が「ベビーブーム」と呼ばれるのであれば、「ベビーブーム」がさったあとは徐々に子供の誕生数が減少していることになります。そうです。右肩上がりの状況にある高齢者数も、いつかは右肩下がりに転じます。

右肩上がりから右肩下がりに転じる時期は、見通しとして2042年。2042年65歳以上の高齢者数が3,935万人にのぼり、ピークを迎えるとのことです。それ以降、徐々に高齢者の数が減少していきます。

そのため、介護施設を考えなしに増やし続けることができません。2018年、今より24年後の2042年から、高齢者数が減少するからです。鉄筋鉄骨コンクリートの寿命は100年以上といわれています。また、平均的に築30年を目安に建て替えられているとの情報もあります。

なんの考えもなしに、今から新たに介護施設を増やし続けると、24年後を目安に、空き施設が増え続けることになり大変なことになるのです。もちろん、そこで働いていた介護職員たちも、転職や転勤をせざるを得なくなります。

出典:「日本の将来推計人口」社会保障・人口問題研究所

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2042年のピーク以降も高齢者割合は増加する

高齢者割合が増加するということは、労働人口が不足(人材不足)するということ

「今後の高齢者人口の見通し」厚生労働省

 2042年以降は、高齢者の数は減少していくものの、高齢者の割合は依然として増加していきます。理由は、65歳以上の高齢者の減少割合に対し、労働人口数の減少割合の方が大きいからです。

2012年、65歳以上1人に対して、20〜64歳が2.4人だったようです。おおよそ1:3で高齢者を支えていたということになります。しかし、2050年には65歳以上1人に対して、20~64歳は1.2人になると推計。1:1で高齢者を支えなくてはならなくなるのです。

「施設から在宅へ」転換することで、65歳以上でも働ける環境整備が整えば、労働人口不足の速度が減速します。

出典:「今後の高齢者人口の見通し」厚生労働省

労働人口が不足するということは、介護保険制度を支えるお金が減少するということ

 みんなで高齢者を支える仕組みが「介護保険制度」です。2018年現在、「介護保険制度」に必要なお金は、税金50%、65歳以上の保険料約25%、40歳以上の保険料約25%でまかなわれています。

労働人口と呼ばれる、働いている人たちの給料から天引きされる税金や保険料。そして、働いていないであろう高齢者自身の年金から天引きされている保険料が介護保険制度の財源になります。

労働人口の割合が減少し、高齢者割合が増加している状況にあるので、介護保険制度を支えるお金が不足。この状態では、税金の増加、保険料の増加、子供や雇用などその他の予算を削る等、なんらかの対策を講じなければならなくなるのです。

住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される『地域包括ケアシステム』

 『地域包括ケアシステム』とは、住まい・医療・介護・予防・生活支援、5つの必要なサービスが一体的に提供される仕組みのことをいいます。

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにすることが目標です。

『地域包括ケアシステム』が必要になった背景は上で説明した通りですが、『地域包括ケアシステム』が機能することで得られるメリットはかなり大きなものとなり得ます。

「施設から在宅へ」を推進する様々な理由

 「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにする」ということは、簡単にいうと「施設から在宅へ」を推進していることになります。「施設から在宅へ」を進めることで、どのようなメリットがあるのかを紐解いて行きます。

介護保険の目標は「自立支援」や「介護予防」-介護給付と要介護度の上昇速度の抑制に-

 「完璧なシステム」は存在しません。そのため改善し続ける必要があります。やってみた結果(情報)を集めて、改善し続けることが重要。それは「介護保険制度」というシステムも同様です。2000年に始まったばかりの「介護保険制度」は当然に欠陥だらけですが、定期的に改善を繰り返してきました。

施設介護・施設サービスも介護保険サービスの1つ。介護保険の目標には、「自立支援」や「介護予防」などが掲げられています。「自立支援」とは、できることは自分で行い、どうしてもできないことだけを介護保険サービスで補うことをいいます。

「自立支援」の最終目標は、在宅でも不自由なく暮らしていけることになるでしょうし、「介護予防」の目標は、できる限り介護のサービスを利用することなく、自分の力で生活していける期間を延ばすことになるかと思います。

では、これまでに「施設から在宅へ」戻ることができたといった話を聞いたことがあるでしょうか。施設サービス契約時、「このくらいの状態であれば、大きな状態悪化がない限り改善の余地がありますので、これくらいの期間で在宅復帰を目指します。」とは言われません。

リハビリ系の介護施設であればそのようなことがあったかもしれませんが、通常の介護施設ではあまりないと思います。そもそも、「終の住処」としてサービスの紹介がなされ、「終の住処」のつもりで施設への入所を考えているはずです。

「自立支援」や「介護予防」を目指すのは当然のことで、「自立支援」と「介護予防」が進み、しっかり介護保険制度が機能すれば、介護給付と要介護度の進行速度が遅くなります。その結果、私たちの金銭的負担と介護負担が減少することになるのです。

本当に必要な人だけが必要な時にサービス利用ができるように変わりつつある病院や介護のシステム

 病院には、「急性期病院」「回復期リハビリテーション病院」「慢性期病院」などの種類があり、それぞれ原則の退院時期が決められています。命を救うためにある「急性期病院」では、原則30日での退院を目指すことになります。

命を救う病院は命を救うまでしか入院できません。その後は「在宅復帰」を目指すためにリハビリを中心とする病院に転院することになります。病気の種類によって、原則の退院時期が決められています。

これらの退院時期は、政府の都合で決められているのではなく、医療的な回復状況によって決められています。急性期・回復期・慢性期・終末期といった病状の変化をもとに決められているので、とても理にかなった仕組みといえます。

このような仕組みであれば回転率が上がるので、本当に必要な人が必要な時に医療の提供がなされるようになります。実際、「慢性期病院」にあたる長期療養を目的とした「療養病床」は、廃止の方向で話が進んでいます。慢性期と呼ばれる病状が安定した状態であるなら、在宅でも生活できるからです。

 介護のサービスも同様に、「介護療養病床」は廃止の方向で話が進んでいます。その代わりに「介護医療院」Ⅰ型・Ⅱ型・医療外付け型という新しいサービスが加わります。

Ⅰ型は「容体が急変するリスクが高い人」だけが。Ⅱ型は「医療を必要としている人で、病状が安定している人」だけ。医療外付け型は「Ⅱ型よりさらに病状が安定している方だけ」といったように、必要な方だけが必要な医療・介護サービスを受けることができるように変わって行きます。特養が要介護度3以上からに変更されたのも、このような理由からでしょう。

 このように、本当に必要な人にだけ必要なサービスが届くように改善・整備されていけば、本当に必要な人だけが助かるだけでなく、私たちの金銭的負担と介護負担が減少します。必要ない方への介護給付が減少し、本当に必要な人にだけ介護給付が届くようになるからです。

出典:「療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて」厚生労働省

「在宅介護」の方が、結果的に負担が減る可能性が高い

 施設サービスのメリットは、介護サービス提供者が常駐していて安心などのメリットはあるものの、高齢者本人にとっては、自分でやりたいことができないまたは禁止されているなどのデメリットがあります。

施設介護での最優先事項は「事故防止」であることがほとんどで、「自立支援」ではないからです。これは仕方のないことで、要介護度が上がるほどに収益が増加する仕組みだったからです。また、揉め事のタネである事故を防止することも当たり前のことといえます。

外出が可能な高齢者であっても、施設に来る訪問医に定期的に見てもらえます。訪問医でどうにもならないような病気にならない限り、ほとんどの生活が施設内部で完結するということです。

このような介護が提供され続けると、高齢者の意欲と心身機能の低下速度が上昇していくことは当然のこと。結果的に、要介護度の上昇速度を促進することになりますので、介護の財源を圧迫。介護の負担も増加していきます。

 在宅サービスのメリットは、施設サービスのデメリットを解消するものとなります。介護サービス提供者が常にいるとは限らないので、自分で行わなければならないことが増加。「施設」内部で完結していた生活が「地域」へと拡大されます。

『地域包括ケアシステム』では、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域を目指しているので、「施設」内部から「30分以内の日常生活圏」に拡大されることになります。狭くなった世界が、30分以内とはいえ広がるのです。外出が増えるので刺激も増加。心身機能が低下しづらくなります。

心身機能が低下しづらいということは要介護度の悪化速度が減速します。結果的に介護保険料の負担も減ります。もちろん、介護そのものの負担も減少。長期的な視点で見た場合、在宅介護の方が負担が減る可能性が高いのです。

ただし、短期的に見ると在宅介護にはたくさんの問題が潜んでいます。高齢者が自由になりすぎると、例えば車の運転などで事故の発生が増加したりもします。『地域包括ケアシステム』による整備が必要不可欠です。

介護を受けたい場所は「自宅」が約4割

「平成24年版 高齢社会白書(全体版) 介護を受けたい場所」内閣府

「平成24年版 高齢社会白書(全体版)最期を迎えたい場所」内閣府

 内閣府の調査によると、介護を受けたい場所は「自宅」と回答された方が約4割もいます。「自宅」との回答者数が圧倒的。最後を迎えたい場所も「自宅」と回答された方が5割以上。半数以上が自宅療養を望んでいるのです。

わがままや贅沢と言われても、「入院したくない。施設に入りたくない。」と思うことはいけないことでしょうか。よっぽどの事情がない限り、進んで入院や入所を望む人はいないはずです。望む人には、必ず何かしらの事情があるのです。

『地域包括ケアシステム』は、家族や金銭的な負担を減らすだけでなく、高齢者自身の願いや自己実現を叶えるシステムといえます。

出典:「平成24年版 高齢社会白書(全体版)」内閣府

地域差を考慮するために「国」ではなく「地域」

 地域によって、高齢者の多い地域とそうでない地域があります。また、地域によって住まい・医療・介護・予防・生活支援などの高齢者が暮らしていくために必要な設備や環境の整備具合の進行度も大きく異なります。

そのため、国が一括して『地域包括ケアシステム』を構築した場合、その地域差を無視してシステムを作ることになってしまいます。例えば、2025年の65歳以上の人口割合に合わせて、「日本全国の住まいの約30%の住まいを高齢者向けの建築にしましょう。」と決めたとします。

これでは、高齢者が20%しかいないような地域で困ってしまいます。高齢者はいいですが、高齢者ではない方の10%が住みにくいのです。例えば、車いすを利用する方にとって、コンセントの位置は高い方が接続しやすく、スイッチの位置は低い方が操作しやすいのです。

しかし、歩行ができる人たちからすれば、高い位置にあるコンセントは邪魔なだけですし、低い位置にあるスイッチは使いづらくて仕方ありません。このように、誰もが住みやすい世の中の仕組みを作ることはとても難しく、現実的に不可能です。

地域ごとに地域の事情に合わせた仕組みを作った方が、みんながより暮らしやすくなります。そのためには、市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づいて、地域の特性に応じて作り上げていく必要があります。

A市ではこの仕組みで暮らしやすくなったからといって、B市で真似しても同じような結果を得られないような、地域の実情にフィットした仕組みづくりをしていく、それが『地域包括ケアシステム』です。

労働人口不足・財政不足を補うには関係機関の連携が重要

 「自立支援」や「介護予防」を目指すことで、具体的には「施設から在宅へ」を推進する結果、多少なりとも労働人口不足・財政不足が減速することになります。ただし、これだけではまだ足りません。

より労働人口不足・財政不足を減速させるためには、より効果的かつ効率的な、高齢者を支える仕組みが必要です。

より効果的かつ効率的な介護を提供する上で一番の課題は、他業種・他社との連携です。具体的には、住まい・医療・介護・予防・生活支援、5つのサービス間の連携を強化することになります。特に、介護と医療の連携が大きな課題です。

「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の実態に関する調査報告書」平成21年度老人保健健康増進等事業

老人保健健康増進等事業の調査によると、「ケアマネジャーが困難に感じる点」で最も多かった回答が「医師との連携が取りづらい」です。医師との連携が最も重要にもかかわらず、このような結果になっています。

出典:「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の実態に関する調査報告書」平成21年度老人保健健康増進等事業

もともと介護は、看護の仕事の一部、医療的な知識や処置を必要としない部分だけが分離されて介護という新しい分野ができました。看「護」と患者を仲「介」するから介護なのですから、医療と介護の分野の連携はとても重要です。

介護者が正しい情報を蓄積して、正しく素早く医療に伝達。その情報をもとに、医療計画が立てられ、正しい医療が高齢者に提供されていきます。これら一連の流れのどの部分にも淀みがあっては、効率的かつ効果的なサービスの提供は実現しません。

元は一緒だったにもかかわらず、介護と看護は別だとの考えが当たり前になってしまったのです。介護職員や看護師ですら別だと考える傾向にあります。このような状態で、連携がうまく機能するはずもないのです。

逆説的に言えば、元の状態に戻すように、介護と医療は同じ分野との考えに転換する方が停滞しなくなります。連携は当然のこととうまく機能してくれば、医療も介護も、効果的かつ効率的にサービス提供がなされるようになるのです。

その結果として「自立支援」へと繋がり、労働人口不足・財政不足がより減速すると連鎖していくことになります。

『地域包括ケアシステム』とは、おおむね30分以内に必要なサービス(住まい・医療・介護・予防・生活支援)を整え、それぞれのサービス間の連携体制を構築する仕組みをいいます。

医療と介護だけでなく、住まい・予防・生活支援も別物ではありません。高齢者と高齢者を支える私たちの生活を豊かにするための同じサービスとする考え方です。

「今後の高齢者人口の見通し」厚生労働省
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