仕事と介護の両立を手助け!法律で定められた介護休業制度 9種類

 仕事と介護の両立に悩んでいませんか。介護離職や転職は、多くの場合あなたにも親御さんにも徳がありません(『(介護離職)介護を理由に転職・退職しないほうがいい5つの理由』参照)。今回は介護休業制度についてご紹介します。

0、介護休業制度とは

 「介護休業制度」とは、会社で働く人々が、介護を必要とする親御さんを介護するために、仕事と介護の両立の手助けを目的に、国が「育児・介護休業法」で定めた制度です。

0−1、介護休業制度の対象家族の範囲

介護休業制度の対象家族の範囲

  • 配偶者(事実婚(内縁の妻)の場合を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

0−2、対象家族が「常時介護を要する状態」であれば介護休業制度を利用できる

 「常時介護を必要とする状態」とは、①介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上かつ②下の表の①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められる場合に介護休業制度を利用することができます。

要介護1の方でも、外出先から自力で帰宅できないほど認知症が重度で、常時見守りが必要な状態であれば介護休業制度を利用することができます。

 ただし、介護休業制度は仕事と介護の両立手助けを目的としていますので、この基準に厳密に従わなければならないわけではありません。介護休業制度を利用する際には、対象家族が、常時介護を要する状態にあることを証明するための書式の提出を求められます。

「常時介護を必要とする状態」の判断基準
状態
①10分間一人で座っていることができる 自分1人でできる 何かの支えがあればできる できない
②立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる つかまらなくてもできる 何かにつままればできる できない
③ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作 自分でできる 一部介助、見守りが必要 全面的に介助が必要
④水分・食事摂取 自分でできる 一部介助、見守りが必要 全面的に介助が必要
⑤排泄 自分でできる 一部介助、見守りが必要 全面的に介助が必要
⑥衣類の着脱 自分でできる 一部介助、見守りが必要 全面的に介助が必要
⑦意思の伝達 できる ときどきできない できない
⑧外出すると戻れない 戻ることができる ときどきできない ほとんどできない
⑨物を壊したり衣類を破くことがある ない ときどきある ほとんど毎日ある
⑩周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある ない ときどきある ほとんど毎日ある
⑪薬の内服 自分でできる 一部介助、見守りが必要 全面的に介助が必要
⑫日常の意思決定 自分でできる 本人に関する重要な意思決定はできない ほとんどできない

1、対象家族1人につき通算93日仕事を休むことができる(介護休業)

介護休業と介護休業給付金

 「介護休業」とは、常時介護を要する状態にある親御さんなどの対象家族を、仕事と両立して介護できるようにするための準備期間として、ある程度まとまった休日を取得することができる制度をいいます。

 ①入社1年未満の方、②介護休業申し出の日から93日以内に退職する方、③週2日以下しか働いていない方は「介護休業」の対象外。

介護休業の期間と回数
期間 回数
対象家族1人につき、通算93日まで 対象家族1人につき、3回

 対象家族1人につき、通算で93日まで。通算でなので、3回までに分けて利用することが可能です。例えば、31日づつ合計3回といったようにです。

 休業開始予定日の2週間前までに、会社にお願いしましょう。法律に定められた制度なので、会社は拒否することができません。会社から開始日や期間などの変更の相談はあるかもしれません。

2、介護休業中もお給料の67%が支給される(介護休業給付金)

 介護休業給付の給付金額は、「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」です。申請は自分でもすることが可能ですが、原則会社が行います。通算で93日間の給料のうち、67%が支給。支給決定日からおおよそ1週間程度で、指定口座に振り込まれます。

3、対象家族1人につき年5日仕事を休むことができる(介護休暇)

介護休業制度

 「介護休暇」とは、常時介護を要する状態にある親御さんなどの対象家族の通院、介護、その他のお世話をするために単発の休暇を取得することができる制度をいいます。

 ①入社6ヶ月未満の方、②週2日以下しか働いていない方は「介護休暇」の対象外。

介護休暇の日数
対象家族1人 対象家族2人以上
1年に5日まで 1年に10日まで

 対象家族1人につき、通算で5日/年まで。半日単位で取得できる(所定労働時間が4時間未満の方は1日単位のみ利用可能)ので、全て半日で取得した場合は通算で10日/年(実質通算で5日/年)まで利用可能です。通算でなので、5日連続使用するというよりは、その都度利用する形になります。介護休業と異なり、緊急性の高い場合(事故や病気など)もありますので、電話連絡だけで休むことが可能。

 介護休暇中の給料は支給されません。法律に定められた制度なので、会社は拒否することができません。

4、残業が免除される(介護のための所定外労働の制限)

 「介護のための所定外労働の制限」とは、常時介護を要する状態にある親御さんなどの対象家族を、介護、その他のお世話をするために、請求することで残業を免除させてくれる制度をいいます。多くの会社で、残業が当たり前になってしまっているのでこのような制度ができました。

 ①入社1年未満の方、②週2日以下しか働いていない方は「介護のための所定外労働の制限」の対象外です。

介護のための所定外労働の制限の期間と回数
期間 回数
1回の請求につき、1か月以上1年以内の期間 請求できる回数に制限なし

 「介護のための所定外労働の制限」は、日々の介護と仕事との両立を、容易にすることが目的です。そのため、対象家族1人につき、介護が必要なくなるまで無制限に利用可能。開始日の1か月前までに会社に申請しましょう。

 残業が免除されるだけで、今までしていた残業代が支給されるわけではありません。そのため、残業が当たり前だった人については、実質給料が下がることになります。会社は、「介護のための所定外労働の制限」の申し出に対し、事業の正常な運営を妨げる場合だけ、請求を拒むことができます。

5、深夜労働が免除される(介護のための深夜業の制限)

 「介護のための深夜業の制限」とは、常時介護を要する状態にある親御さんなどの対象家族を、介護、その他のお世話をするために、請求することで午後10時~午前5時(深夜)の労働を免除させてくれる制度をいいます。

 ①入社1年未満の方、②週2日以下しか働いていない方、③介護ができる16歳以上の同居家族がいる方、④元々全部深夜労働の方は「介護のための深夜業の制限」の対象外。

介護のための深夜業の制限の期間と回数
期間 回数
1回の請求につき、1か月以上6か月以内の期間 請求できる回数に制限なし

 「介護のための深夜業の制限」は、日々の介護と仕事との両立を、容易にすることが目的です。そのため、対象家族1人につき、介護が必要なくなるまで無制限に利用可能。開始日の1か月前までに会社に申請しましょう。

 深夜の仕事が免除されるだけで、今までしていた深夜労働に対する割増賃金は支給されません。そのため、割増賃金分、給料が下がることになります。会社は、「介護のための深夜業の制限」の申し出に対し、事業の正常な運営を妨げる場合だけ、請求を拒むことができます。

6、労働時間を短くできる(介護のための所定労働時間短縮等の措置)

介護のための所定労働時間短縮等の措置

 「介護のための所定労働時間短縮等の措置」とは、常時介護を要する状態にある親御さんなどの対象家族を、介護、その他のお世話をするために、請求することで労働時間を短くすることのできる制度をいいます。

 ①入社1年未満の方、②週2日以下しか働いていない方は「介護のための所定労働時間短縮等の措置」の対象外。

介護のための所定労働時間短縮等の措置の期間と回数
期間 回数
対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年の期間 2回以上

 「介護のための所定労働時間短縮等の措置」は、日々の介護と仕事との両立を、容易にすることが目的です。そのため、3年とかなり長い期間が設けられています。3年間まるまる労働時間を短くすることもできますし、2回以上に分けて短縮することも可能。

 開始日の1か月前までに会社に申請しましょう。労働時間の短縮は、会社によって異なりますが、以下の4種類の方法のうちどれかになります。

  1. 所定労働時間が8時間の場合は2時間以上短縮(7時間以上の場合は 1時間以上の短縮)
  2. フレックスタイム制度
  3. 始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)
  4. 介護サービスの費用の助成

 1、2、3は実際に労働時間が短縮されます。短縮された分の給料は保障されませんので、実質給料が下がります。4については労働時間は短縮されません。短縮されないので、その時間(例えば2時間)訪問介護などの介護保険サービスをお願いすることになります。その介護保険サービス費用の5割程度を支給することで短縮の代わりとする方法です。

7、転勤などは介護の状況に配慮される(労働者の配置に関する配慮)

 会社は、労働者の親御さんなどの対象家族の、介護の状況に配慮して転勤などの配置換えをしなければなりません。配慮義務だけなので確実ではありませんが、急な転勤や、遠くへの転勤は免除される可能性が高いといえます。介護が理由で、転勤を断りたい場合にはその旨伝えましょう。

8、不利益な取り扱いが禁止される

 介護休業制度利用の申し出や取得などを理由に、不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。例えば、介護休業制度利用などを理由に、解雇、更新の停止、降格、希望した期間を超える残業免除・深夜労働免除・労働時間短縮、減給などさまざまな不利益行為が対象です。

 もし、このようなことがあった場合にはすぐに、最寄りの労働局に電話して「介護休業制度利用による不利益についての相談で電話しました。」と伝え、相談しましょう。

9、ハラスメントが防止される

 会社は、介護休業等を理由に、上司・同僚による働く環境を害する行為を防止するための措置を行わなければなりません。例えば、職員に介護休業制度を教えたり、苦情などの相談に応じたり、適切に対応するための必要な体制の整備をしたり、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置などを行わなければなりません。

 こうした企業努力がない限り、介護休業制度を利用する方の肩身が狭くなるからです。親御さんなどの介護は多くの方に共通しておとづれる課題なはずですが、理解されない職場も少なくありません。

 もし、会社側がハラスメント防止のための協力がなく、介護休業制度を利用していることで嫌な思いが続くようであれば、最寄りの労働局に電話して「介護休業制度利用によるハラスメントについての相談で電話しました。」と伝え、相談しましょう。

10、介護休業制度を超える、手厚い独自制度を設けている会社もある

 1〜9までの介護休業制度は、育児・介護休業法に定められた最低限の制度です。大企業などは特に、育児・介護休業法に定められた以上に手厚い独自制度を設けているところもあります。例えば、介護休業の制限が93日ではなく、1年間物長期間提供しているなど。

 手厚い独自制度が提供されている反面、会社や職員の理解が足りていないのが現実です。あまりいい顔されないのです。戻った時の対応も違います。仕事は人間関係がとても重要です。労働局を上手に活用しつつ、バランスよく制度を利用することが必要です。未だ課題の多い制度といえます。

 いかがでしたか。今回は介護休業制度についてご紹介しました。誰も得しない可能性が高いので、国は介護離職ゼロを目指しています。仕事と介護の両立を支援するための介護休業制度。自分が辛くならないよう上手に活用しましょう。

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